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3人のアンヌのooospemのレビュー・感想・評価

3人のアンヌ(2012年製作の映画)
4.0
イザベル・ユペールとりわけ好きって訳でもないのに魔力に吸引されるように観てしまうのは何でだろう。ホン・サンス監督と組むっていうのもそそられたけど、何よりすごいと思ったのが『ユペールがユペールじゃなくなっていた』こと。こんだけ存在感強すぎる女優が女優名じゃなく、役の名前で空気になっていたのがすごいと思ったんだ。一人目のアンヌはユペール様らしい不機嫌・高飛車・カリスマ性の三拍子(もはや悪口)だったもんで「これただユペールを崇拝する映画じゃん」「ユペールと組める興奮が素直に溢れ出してるのかな(偏見)」っていうアンバランスさが魅力だったのが、知らないうちに空気が彼女を取り込んでいてさ…このアンヌを最初に持ってくるっていう配置にも韓国×ユペールっていう新鮮さに興奮してる観客の気持ちをそのまま違和感として提示して、こっちのテンションとリンクさせつつだんだん馴染ませていく…という駆け引きがうっすらと見え隠れ…うーん一本とられた!

それにしても彼女ってすごいの、普段ガサツめなスタイリッシュが似合うくせに、それに加えて「器用な女」感がプンプン出るから、今作みたいな繊細な妙でクスッとさせてくる作風にもすんなり合うの。それに馬鹿正直なライフガードボーイの掛け合わせがミスマッチかと思いきや、不思議と良い。三作とも決定打はなくてビミョーに良いってのが良い。
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