観光促進を目的に高知県庁に新設された、「おもてなし課」の職員の奮闘を描いた人間ドラマ。
県庁の内面を描いた、爽やかな風が吹く作品。
仕事に一生懸命でもどこか抜けている県庁職員の掛水(錦戸亮)、そんな彼に淡い恋心を抱くバイトの明神(堀北真希)、発想が急進的であるがゆえ役所を追われた清遠(船越英一郎)など、様々な人物が登場する。
立場は異なるが、彼らの根っこにあるのは「高知県が好き」という郷土愛。
その愛が推進力となって、地元をより良くしようとする熱意が感じられる。
劇中に登場する「役所に欠けているのは民間感覚」という指摘はごもっとも。原作者の有川ひろの実体験が反映されているとか。
成果が見えにくい業務内容、働きにくいコスト意識、定年まで保障された身分……公務員が世間の感覚からズレるのも当然なのかも知れない。
一方で、コロナ禍や災害時に私生活を犠牲にして最前線で活躍する公務員がいるのも事実。
本作で描かれている公務員も同じ。「おもてなし課」は窓際職場のようにも見受けられるが、掛水のように県内を走り回っている職員がいる。
結局のところ、一部の熱意ある公務員で行政は成り立っているのかも知れない。
そして、熱意のない公務員が世間の目につくため、バッシングの対象になりやすいのだろう。
ある意味、やる気ある公務員は気の毒な立場なのかも。
実話を基にしていることもあり、本作の内容はリアリティに富む。
心地よさの残る後味の良い作品のため、気分が沈んだ時などにぜひ。