あんじょーら

パシフィック・リムのあんじょーらのネタバレレビュー・内容・結末

パシフィック・リム(2013年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

たまには娯楽映画に足を運ぼうと思い、観てきました。なんだかんだ言いつつも、個人的には観終わった後にいろいろ考えたくなる映画が好きです。スノビッシュな小難しい作品が好きというわけでもないんです。が、しかし、単純な勧善懲悪や、良かったねハッピーエンド、キャスティングだけでどういうカップルが結ばれるのかが分かってしまう作品は好きではありません。もちろん観てない作品には何も言えませんが。キャスティングだけでどういうカップルが結ばれるのかが分かったとしても、その起伏なり障害に説得力があり、乗り越える際のカタルシスにある程度のロジックがあれば感情的になれる作品もあると思います。



予告編の熱さを感じたので足を運ぼうと思いましたし、正直ガジェットとしてのロボットの形やスタイルには少々疑問も感じていたのですが、これが非常に面白かったです!ロボットのイェーガーはこの形で正解だと思いました、やはり作品は観てみないと分からないです、当たり前のことですけど。



何故パイロットが2人必要?だとか、なんで海の中からなのか?とか、いろいろと気になる部分も多い作品でしょう。時間の尺から考えると、様々な物事を詰め込み過ぎなきらいも認めます。が、これはたしかに凄い作品です。で、どう凄いのか?は観ていただく事が最も優れた説明になっていると思います。



カイジュウが好きな方でも、ロボットが好きな方でも、パニック映画が好きな方でも、人間ドラマが好きな方でも、群像劇が好きな方でも、そしてアトラクションを楽しむのが好きな方にも強くオススメできる作品だと思います。極力3Dで鑑賞される事を勧めます。


132分間、ずっと良質のアトラクションに乗っているかのような感覚が得られます。




アテンション・プリーズ!


少しネタバレありますが、未見の方はご遠慮くださいませ。






















































見る前は、ロボット・イェーガーが重鈍な感じで、もう少しうまくならんかな?という印象だったのですが、みるみる引き込まれて、結局非常に説得力あるスタイルであることに気付かされました。この重さを伴っているからこそのカッコ良さがあるのです。そしてそれを強調する演出とカメラワークだと感じました。だから、見やすい角度からの分かりやすい絵は少なく(だいたいに戦闘が始まる前の距離感を表すために見受けられる程度)、圧倒的に迫力と魅せたいカイジュウとイェーガーの角度を重視しているために、スタイリッシュでカッコイイんですが、非常に情報量も多くなってますし、受け手のリテラシーも求められていると思います。



ストーリィこそ単純ですが、追い込まれる際の絶望感はかなり深いものがあったと思います。だからこそ、そこを乗り越える際のカタルシスが著しく高い!カテゴリー4のカイジュウが2体出てきて、4体しかないイェーガーの、ロシアのチェルノ・アルファと中国のクリムゾーン・タイフーンが破壊され、オーストラリアのストライカー・ユーリカが停止した際の絶望感は相当なモノがありました。だからこそ、ジプシー・デンジャーの登場に息をのむわけですけど。



カイジュウの恐ろしさも特徴的でいいです。動きが早いのもいれば、酸を貯めて吐き出すヤツもいますし、バリエーション豊かです。個人的にはオオタチ(酸を吐く飛べるカイジュウ)とレザーバック(オオタチと一緒に現れたゴリラっぽいカイジュウ)が好きです。カイジュウの見せ方が凄くカッコイイし、なかなか全身を見せないところもにくい配慮だと思います。



そして、吹き替え版を観ましたが、声優さんがものすごく豪華です。銀さんに、アムロ、シャア大佐に綾波レイ、そしてタッチの上杉・兄。もう豪華過ぎますね。特にどうしても銀さんが良かったです。公私混同も甚だしい「ロケットパーンチ!」はこの映画の合言葉とも言えるくらいです。予告では「エルボーロケット!」なんて叫んでるのに、流石デル・トロ監督は分かってらっしゃる。




パイロットのバディ感がかなりイイですよ。まるでライディーン方式の運転なんですが、そこを2人で脳さえ直接接続する【ドライブ】というシステムがあり、しかもカイジュウと【ドライブ】を決めることでカイジュウの意思を探ることが出来るという脚本は本当に素晴らしい。1人の脳で耐えきれなかったからの【ドライブ】システムが、カイジュウの意思を知ることのできるシステムに応用させる、その上過去の自分を乗り越える為のシークエンスにも無理なく、説明過多にならずに済むこのモチーフの発想が素晴らしい。



パイロット同士の交流も良かったんですが、最も響いたのはアムロ博士と上杉・兄博士のいがみ合いながらも相手を負かすことに意義を見出しているための繋がりが、人類の危機を迎えてその意義さえ乗り越えて【ドライブ】するバディ感が最高にアガります。ここだけでお祭りに出来るくらいテンションあがりました。



続編もありうる結末!もちろん今作だけでも納得の充実した内容で、良かったです。



合言葉は「ロケット・パーンチ!」です!!!