Ray

ゆめのかよいじのRayのレビュー・感想・評価

ゆめのかよいじ(2012年製作の映画)
5.0
ゆめのかよいじ

とは夢路の事なのですね。
題名でこの映画への想いが募りました。
主人公が引越して来た理由。
その経緯そのものがまるでゆめのかよいじのように、主人公にも現実感がないのかも知れません。
 
大切な家族を突然失うと、しかも自死と思わせる流れを感じて言葉を失います。
 
ここまで汲み取る必要は無いのだと思います。

でも、届く人には届いてしまう。

少しづつ失われる気力。

新潟の親戚に預けられた理由。

二人が出会った意味。

たとえ追いかけても出会えるかは分からない。

ゆめのかよいじを彷徨うだけなのかもしれない。

人の姿を見て気付くことは多くて。

自分では分からないことも。

分かり掛けて来た時に震災が。

愛しいもの。美しいものを一瞬にして奪ってしまう。

物語が織りなしていく風景が美しくて。

校舎の手沢の光が暖かくて。

失われても心の中の想いを奪う事は誰にも震災にだって出来ない。

人は弱くて強い。

美しい風景のこの映画は決して想いを押し付けたりはしない。

優しく見守ってくれている。

受け取れる人の悲しみに寄り添ってくれる。

そんな気がしました。
Ray

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