日本映画復興奨励賞
ロサンゼルス日本映画祭平和賞 受賞作品
「被爆してもピアノの音色は変わらなかったのです」
街角に貼られたこの映画のポスターに書かれたこの言葉に全てを伝えて貰った気がしました。
被爆ピアノと被爆二世。
この言葉を今の日本に伝える映画や本はどれ程あるのだろう。
被爆二世はある日突然、自分が被爆二世だと知ることになる。
昨日の自分と何一つ変わらないのに。
自分の大切な家族が被爆者だという理由で。
その事に気が付きました。
戦争と核兵器のない世界がなぜ必要なのかとか。
原爆被害は、福島原発事故の事もあって、今はもう遠いもののように感じていました。
それは、もしかしたら隣りにいるかもしれない、同年代も多いと思われる、被爆二世の人達の、声にしない証言のおかげなのかもしれません。
自分の子供達を偏見から守るために、自分が被爆二世だと、受けた理不尽を言葉にしないという。
おばあちゃんの被爆ピアノを無断で寄贈した事を被爆二世のお母さんに文句を言って詰め寄る被爆三世の主人公。
大学で知り合った同級生に「私、被爆三世なんだ。」と笑顔で話す姿に。
被爆二世のお母さんがどれ程の思いで、主人公を守り育ててきたのかを垣間見る思いでした。
苦しみや憎しみを次の世代へ繋がない決意。
声にならない思いを被爆ピアノが伝えてくれる。
被爆してもピアノの音色は変らなかったのです。
人は?
この映画をこの先の未来の子供達に渡していかなくてはと強く思わせられました。
被爆ピアノの音は無言の証言。
と日光市教育長が、上映会の後に感想を述べられていました。
広島の人間ではこの映画は作れない。
被爆しても人の心は変わらないと。
誰かに言って欲しかった。
被爆していない世界中の人達に。
変わらないと。
この映画が伝えてくれました。ありがとうございます。