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まぼろしの市街戦の白のレビュー・感想・評価

まぼろしの市街戦(1967年製作の映画)
4.2
「禅」のランドルト環が閉じられ円環となるとき、彼は言語の〈法〉から追い出されて、「完全」すなわち個人(人格)としての死を迎えます。わたしはこの世界が羨ましくてたまらない。ひとりで呼吸に集中しているだけでは、精々水面に水滴が垂らされて出来る輪っか程度。円環をもつ仲間たちがいないと、完全な球体を維持できない。
まれびとの性愛・音楽・踊り・言葉の分裂。あの世界が羨ましくてたまらない。わたしのような凡人にとっては、その世界は、いくら楽しく遊んでいたって「疲れちゃったし、そろそろ帰るね」と別れを告げられてしまうものなのです。言語という服を、まだまだ脱ぐ気がーー勇気が足りないのですから。
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