まぼろしの市街戦の作品情報・感想・評価

「まぼろしの市街戦」に投稿された感想・評価

このレビューはネタバレを含みます

静かな映画。人間より高い位置から、かなり引いて撮ることで動作と音に乖離が生まれることもあるが、この町にほとんど「規則」がないことにも因ると思う。もしあるとすれば「苦しまない」ことだろうか。みな同じ方向を向いているので、ノイズが入らない。

そして何より、むちゃくちゃおそろしい映画だった。
戦争という(戦争状態にない)日常の法則を無視した枠組みから、さらに別の世界へと潜りこむ主人公。もちろん、それはこの町に来たことではなく、精神病院に入ったことである。最後のカットしかり、登場人物たちは意識してこの世界に絶望している。こんなにかわいらしくて笑えるのに、それを覆う、なんて分厚い悲しみの膜。
AKITO

AKITOの感想・評価

5.0
「イカれてるのはどちらだ⁉︎」
【舞台】
1918年10月第一次世界大戦末期北フランス
英国軍 大時計 爆破 ドイツ軍
隔離病棟 精神病者
主人公 伝書鳩専門 爆弾のありかを探る
【感想】
戦争によって失われた人間の豊かさのようなものが、白昼夢のように無人の街を支配する。しかしそれもいつしか銃声にかき消され、もとの隔離された場所へと戻ってゆく。人間が如何にシステムと戦うか、あるいは対抗するかを克明に描き出す。ユーモアを交えた強烈な反戦のメッセージは、現代にこそ問われるべきだ。
yadakor

yadakorの感想・評価

4.0
どうせ反戦映画なんかで戦争は無くならないので、それならこういったブラックコメディ等楽しめる工夫を凝らしてある作品はむしろ良い
なんでこの映画tsutayaにDVD置いてないんだろう
徹底的に戦争を皮肉ったコメディ映画。
これを観て戦争の馬鹿馬鹿しさに気付かない人はいないはず。
抗議の手口が美しいよな…
やっとお目にかかれた時はとても嬉しかったです。

カルト映画の基本ですね。
全体的にフワフワした手触りの映画だったけど、観終わってから思い返すと、一つ一つのシーンがしっかり記憶に刻まれているから不思議。
吹替版で鑑賞。
放送禁止用語を無音声にしているため、台詞が時折切れる。キャストが良いのに勿体ない……。
富山敬、信沢三恵子、広川太一郎、小原乃梨子、大塚周夫、大平透、雨森雅司、富田耕生とかなりの芸達者揃い。
正気と狂気紙一重の演技もお手のものだ。

余談だが、脚本家・浦沢義雄と喰始(WAHAHA本舗社長)は公開当時鑑賞したという。
よしこ

よしこの感想・評価

3.5
ピクニックだったりプランピックだったりする通信兵がたまたまフランス語が喋れるというだけでひとり危険な任務へ身を投げるコメディの皮を被ったシニカルな反戦映画。


基本的に物語は淡々と進みこれといった見せ場は無いのだが裏を返せばこの映画はほぼ見せ場しかない。
ある事からハートのキングを名乗る羽目になった二等兵のプランピックが、大勢の精神病患者達に翻弄されながらドイツ兵の残した爆弾を解体すべく奔走するのだが、街へと解放された患者達のその生き生きとした表情はどこか名状しがたい狂気を孕んでいる。そこである者は理容師に、ある者は娼館で娼婦にと忠実に彼らの理想を演じ切っていた。

ラストのプランピック二等兵がどう行動するかがこの映画の主題であり監督のメッセージだと思う。
なにぶん古い映画なので中弛み感は否めないが全編コメディタッチで滑稽な仕草が多く、雰囲気を楽しめれば良い映画であると思う。
あきら

あきらの感想・評価

4.8
言ってみれば、狂人のおままごとなんだと思う。

ただ、何をもって狂ってるとするか。ってとこだけど。
ストレートに訴えかけてくる反戦映画とはまた違うパワーがあるのね。
シュールとかカルトの枠でくくるには勿体無いと思う。

これ、めちゃくちゃ好きだ。
香港

香港の感想・評価

4.6
この全編を支配する猛烈な多幸感と、その甘い幸せに混じったビターな刺激。その二つの完璧なマリアージュ。本当に奇跡的なバランス。

反戦映画であり、上質なビタースウィートコメディであり、人にとってのあるべき場所や所在の価値に関する極めて優れた批評でもある。それらを2分くらいのラストシーンで全て一つにまとめあげてしまう力量は凄まじい。