まぼろしの市街戦の作品情報・感想・評価

「まぼろしの市街戦」に投稿された感想・評価

HK

HKの感想・評価

4.8
「君に愛の月影を」などのフィリップ・ド・ブロガ監督によるフランスの反戦コメディ映画。キャストはアラン・ベイツ、ピエール・プラッスール、ジュヌヴィエーヴ・ビジョルドなどなど

第一次世界大戦末期のフランス。ドイツ軍の撤退が決まってからイギリス軍がフランスの小さな村に進軍をしようとしていた。しかし、ドイツ軍が村のどこかに時限式の爆弾を仕掛けたことが判明する。イギリス軍はとある通信兵に村の探査に赴かせるのだが‥‥

時限爆弾の危機ですべての住民が避難してもぬけの殻になった街で唯一そのような知らせを聞かなかった、いや聞く耳がなかった精神病患者の人たちがほんの僅かな時間ながらも、戦争という空間から脱し平和という自由を手に入れどんちゃん騒ぎを起こす映画である。

戦争を起こしている健常者の人たちや軍人よりも、隔離された環境でも幸せな空間を作ることができる精神異常者の人たちが造り上げる世界のほうが、どこかぶっ飛んでるけど平和だったという、岡本喜八やエミール・クストリッツァの作品のような嘘か本当かわからないラインで戦争風刺をコメディに落とし込んだ作品である。

映画のオープニングのクレジットタイトルから、どこか遊びが入っているような演出からこの映画がどこか良い意味でふざけている映画だというのがよくわかる。そして、劇中行われるイギリス軍、ドイツ軍、精神病患者間らによる見事なまでにウィットに利いたボケの咬ましあいがとても良かった。

個人的には、前述したように岡本喜八さんの外し方に近い。普通ならとてもじゃないけど笑いにできないような状況下でも、シリアスでシニカルな笑いに置き換えてしまうこの演出がたまらない。やっぱり戦争コメディって最高だなというのがよくわかる映画である。

劇中では、動物などを笑いの装置として上手く作用させており、特に序盤の鳩の演出も不謹慎かもしれないが笑ってしまった。そして、映画内で折から出されたライオンなどの巨大な動物が街を跋扈する様子を見て、仰天する斥候兵たちが爆笑であった。今でも印象に残っている。

主人公も、こんなぶっ飛んだことをやる人たちの間でキングと認定されてしまいてんてこ舞い。しまいには本当に自分が狂っているのかどうかすら分からなくなる所も笑える。しかし、やはり彼らの絡み合いが見ていて楽しいから飽きがない。ずっと笑えるんだからコメディとしての完成度はずば抜けている。

終盤、もう一つの平和の象徴ともいえる祝砲がもう一つの悲劇の合図になるのだが、ネタバレしたくないので言わない。しかし、あのアイテムが良くも悪くも二律背反的であるということを上手く映画的機能で物語っているのでそこが素晴らしい。

そして、最後主人公が取る決断が皮肉に溢れていてとても面白かった。いまじゃ絶対に無理だろうな。精神病患者が全員あんな幸せな訳ではない。今見りゃ演出の誇張が過ぎるかもしれないが、それでもあくまで戦争批判、戦争風刺の物語に焦点を合わせた結果があのラストなのだろう。ものの見事に納得できるラストで素晴らしかった。

もう、こんな映画作られることもないだろうなと思うとなんだか悲しくなる。一回みんな自分たちの権利主張すんのやめてこういう映画が作られやすい環境になってほしいですね。素晴らしい映画を見れて本当に良かったです。
Panierz

Panierzの感想・評価

4.2
戦争の狂気や異常さを、逆説的にここまで面白可笑しく描き、伝えることが出来るのかと感動した。
ドタバタ喜劇としても最初から最後まで楽しい。見れて本当によかったと思える映画。
moon

moonの感想・評価

3.7
新文芸坐にて、追想との二本立て

第一次世界大戦末期、時限爆弾が仕掛けられた小さな村は精神病院の患者たちによって摩訶不思議なユートピアと化す…
その永続・色彩の豊かさは反戦映画とは思えないほど。美術もポップでかわいい。ただしがっつり皮肉の効いたブラックコメディでもありました

ラストの主人公の行動には笑ったがその分考えさせられた。
本当に狂ってるのはどっちだろうか?
S先生

S先生の感想・評価

4.1

このレビューはネタバレを含みます

4Kデジタル修復版を劇場にて鑑賞。

フランス製作のユニークで、どこか気の抜けたコメディ映画ですが、しっかりとしたメッセージもある作品でした。

フランスの小さな街を巡るイギリス軍とドイツ軍の攻防、刻一刻と迫る時限爆弾のタイムリミット、、、
緊迫感があるはずの物語なのですが、街に取り残された〝オカシな〟住人達のおかげで、気楽に楽しく鑑賞出来ました。
何かにつけて歌って、踊って、パレードを行う住人達。
彼らの言う、シンプルに今を楽しく生きるという考えも、大事な考え方の一つだと感じます。

そして物語のラストで主人公が取る選択が、この映画のメッセージを象徴していると感じました。
終わりの無い戦争、悲惨な現実社会、何が正常で何が異常なのか区別が難しい世の中では、〝まとも〟ではいられない。
どうしようもない〝現実世界〟に生きるよりも、精神科病院という檻の中から思い描く〝空想の世界〟の方がマシである。
そんな戦争や世の中を皮肉った作品だと思いました。

とは言え、メッセージ性が主張し過ぎることはなく、基本的にはオシャレなタッチのコメディ映画で、面白可笑しく鑑賞出来ます。
カルト的な人気を誇る映画というのも納得出来る傑作です!!
a

aの感想・評価

4.7
タイトル通り、まさに"まぼろしの"市街戦 だった。精神病院に幽閉された人々への優しい眼差しがありありと伝わってくる。
最後の主人公の選択は、現実逃避なんて意地悪なものじゃなくて、隔離された精神病院と戦場、どちらがまともで正気でいられるかという問いに対する答えだったのかと思った。でもそれだけじゃうまくまとまらない色々と考えさせられる反戦映画でした。
QTaka

QTakaの感想・評価

4.3
狂気と正気のカオスがスクリーンいっぱいに展開される。
はたして、戦争は、正気の沙汰なのか?
救いの場は、どこにあるのか?
.
フランス人監督による、
フランス映画による、
フランスの反戦映画。
はたして、その中で表現された戦争とは、反戦とは。
.
第一次世界大戦の末期。
ドイツ軍のに占領されたフランスの田舎町。
敗走するドイツ軍は、町全体を吹き飛ばすほどの爆薬を仕掛けて、
町を奪還しに来るイギリス軍を待ち受ける。
その町から、爆弾の危険を知らされて、爆弾の排除のために町に送られたスコットランド兵。
町に乗り込んだ兵士の前に、町の住人は爆弾を恐れて町を出て、もぬけの殻。
ただ、精神科病棟には、風変わりな患者たちが残されていた。
物語は、この風変わりな患者たちと、一人のスコットランド兵によって繰り広げられる。
.
その出会いから、なんともかみ合わないまま物語は進む。
正気の兵士と狂気の患者たちという関係なのだが、
半壊した街並みで繰り広げられる舞台演劇のようなシーンは、戦場の緊張とは全くの別世界であり、むしろ優雅な、暢気な、滑稽な雰囲気に包まれている。
この辺りから、観客も気がつき始めるのだろう、狂気とは何か?
やがて、ドイツ兵が戻ってきて戦闘が始まる。
狂気の町の住人たちの前で、殺戮が行われる。
ここで、はっきりと分かる。
狂気は、この殺戮に有る。
狂気とは、正にこの戦争に有るのだと。
そして、最後、兵士が下した決断は…
.
狂気の象徴として〝精神科病棟〟の患者たちと狂乱の宴を繰り広げた後。
戦争の現実を見せる。
「はたして、正気となんだ?狂気とはなんだ?」
〝反戦〟を訴えるために、〝狂気〟を持ち出すとは、なんとも強烈な皮肉だ。
ラストシーン、〝精神科病棟〟へ逃げ込んだ兵士が、仲間たちとカードゲームに興じている。
ここで気付くことがある。
本当の平穏とは、救いの場所とはどこなのだろう。
この映画は痛快で、楽しい。
だからこそ、反戦のメッセージが強烈に響いてくる。
統一的な服装に身を包まず、色とりどり好きな服着てさ、踊って歌えたら人生は楽しいんだろうなってそう思うんだ
なぜ銃を持つ
u

uの感想・評価

4.2
良かった、本当に面白かった
しかも劇場内でも笑いどころがみんな違っててよかった

でも、でも、これがコメディだってわかった上で言いたいんだけど、
この、外=悪の図式とか、
今その瞬間を生きる彼らが戦争のない平和なユートピアを築いていくんだ、的な
純粋主義?理想主義?みたいなのを認めるのはあまりにも簡単すぎないか

いや、難しいことは抜きにしてみんな一旦我に帰ろう、って言ってるのはわかるけども、それでも一応言いたかった

戦争っていうその場面だけを切り取ったらそりゃアホみたいだけど、
アホだってずっと笑ってられないからみんなこうなってるんでないか

このアホみたいな戦争に対して、
お前らアホだな、関わりたくないな、
って態度を取り続けることを許されるのは
本当に少数だと思うな

その態度を否定するつもりは全然ないけど
まーぼ

まーぼの感想・評価

5.0
これは超すき。

自分が望む姿でいることを、互いに許容している世界。ハッピー。たのしい。うれしい。自由。

コクリコちゃん可愛い。
初めは、ギャグは滑っててつまんねーし、なんか小難しいことを言おうとしている映画だなーとか思ってたんだけど

徐々に引き込まれていって

最後は、この映画の全てを、俺は飲み込めてはいないんだろうけど、なんか凄い良いもの観たなって気になった

別段、小難しいことを言おうとしているわけでもなく

どっちが本当の狂人なのか?

同じ服着た奴がいっぱいいる世の中より、わけわかんねぇ、変な服着た奴がいっぱいいる世の中の方が、楽しくない?

といったメッセージをこの映画から受け取りました
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