えりーぜ

まぼろしの市街戦のえりーぜのレビュー・感想・評価

まぼろしの市街戦(1967年製作の映画)
4.5
いや、素晴らしかった。
めちゃくちゃでドタバタで、おしゃれでポップで、元気になれる映画。
何にでもなれるし、何だってできる、それを望むなら。

地位の高さや称号は、個人の能力や徳によらない。身振りや態度や身につける衣装によって決まる。
なりたいように、なりたい風に。軽やかに華やかに自らを彩っていく。
彼らは一見自由に、怖いものなどないように見えるけれど、自分たちの自由に制限があることを知っている。
それは心の内面においても外的な時空間においてもそうで、その領域を守り決して出ようとはしない。
彼らは世界を恐れ、自ら選んだ狂気の中に閉じこもる。愉快な一夜の夢を楽しみ、どうなろうと、死すら恐れないと踊りながら、"マトモな"世界がその力を取り戻し抑圧してきたら、夢は終わり引き下がらなければならないことを知っている。
自ら選ぶ世界で、窓の外の世界を空想するように、自由に生きている。それが幸いかどうかは、分からないけれど。