似太郎

ホーリー・モーターズの似太郎のレビュー・感想・評価

ホーリー・モーターズ(2012年製作の映画)
4.6
どうも最近(ハリウッドも含めて)ストレート直球勝負の映画よりもオタク/シネフィル受けを狙ったあざとい映画の方が増えた気がしてて、本作も正しくそれに該当する。

果たしてこの映画のようなレオス・カラックスの作為性バリバリな演出に客は耐えられるか❓
耐えられない人にとっては完全に拷問のような映画でしかなく『ポーラX』同様(ある一定層以外の客からは)全く必要とされない代物ではある。😓😓😓

全体を通して俳優が【演じる】こと/観客が【見ること】或いは【見られること】へのフェチズムを描き切ったアヴァン・ポップ風映画と言える。作り手が自己のロジックに酔い過ぎて迷走気味な感じがタランティーノの『ワン・ハリ』にも似てる。(むしろあちらが真似したのか?)

ただしカラックスの場合、タランティーノほど演劇的なグダグダ感は無くソリッドな作風で好印象。余計な説明台詞を省いているのもgoo。何より主演のドニ・ラヴァンのドッシリとした存在感が素晴らしく、いまどきのチャラい雰囲気は一切無かった。

たしかに構成的にあざといと言えばあざといのだが「作り手が本気(マジ)の映画」という意味では見応え十分な作品で、現在のハリウッドによく見かけるオタク受けを狙った中途半端な芸術映画を観るよりは遥かに健全。

全体的に理屈や左脳をフル回転させた【作家性】【独善性】重視のフランス映画らしい作りで、ブルース・リーの名言「考えるな、感じろ」とは真逆の「感じるな、手前で考えろ」といった趣きになっている。結局は映像による遊びが全て。まあ、それはそれでアリかな…?🤔
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