原題そのまま「私と君」なら見なかったかもしれないとは思いつつ、邦題は盛りすぎというか押しつけがましいというか
ただ、和英訳なら「あなた/you」となるところ、和伊訳だと「君/te」となるのだから、イタリアに対する日本人の思い入れってそもそもこんな感じなのかもしれない
姉弟の物語ということもあって、前作「ドリーマーズ」に通じるところがなくもないけど、二人とも美形ではないし、撮影監督も同じなのにお洒落、華美、ややもするとスカした感じの絵作りはされていなくて、とても誠実、いろいろ削ぎ落としてワビサビさえ感じる作品
こういうのをサラッと作れるのが巨匠だな、と思える素敵な映画
高校の同級生が勉強中心のつまらない人間に思えて、親に内緒で学校に行かず、部屋にこもって読書にふけっていた頃を思い出した
それこそぶっ続けで一週間とか
一戸建ての二階に部屋はあって、ドアは内側から施錠していたのだけれど、ある日、昼に親が帰ってきて屋根から部屋に入ろうとしてきた
誰かから家の二階の部屋が火事だという電話があったらしい
そんな事実はないし、外から見てそう思えるような事柄はなかったはずで
結局、窓は開かないし僕はいない振りをしたので親は職場に戻って行ったのだけれど
あれ、誰からの電話だったんだろう?
僕の不登校に対して気持ちが動いた人の電話のように思えた
担任?クラスメイト?遊び友だち?
いずれにしてもそこには何かしらの強い思いがあったはずで、ポジティブなものかネガティブなものかわからないけれどその強さに見合うだけのものを持ち合わせていなかった僕は、少し怖ろしいものを感じながら次の日から学校へ戻った
とかフラッシュバック
誰かをハグ……してないなぁ
背骨が鳴りそうなハグ……してないなぁ
おまけ
音楽、ジミヘンに続いての本作はデヴィッドボウイ
デヴィッドボウイはオリジナルももちろんいいけれど、こっちの思い入れが強すぎて、ちょっと流しておくのには重すぎ
「シティオブゴッド」セウジョルジュの「ライフアクアティック スタジオセッションズ」というカヴァー集があって、これがなかなかよいのです
アコースティック×ポルトガル語で曲のよさが逆にひきたつというか