上海十月

セデック・バレ 第一部 太陽旗の上海十月のレビュー・感想・評価

4.0
とにかく長い映画だが、これでもかというくらい日本人が殺される映画だ。『海角七号 君想う、国境の南』の監督さんで日本に対して興味のある監督だろう。霧社事件を題材に少数民族の生き様を描く。伝統文化が文明と対立するとこのような悲劇、まして日本による統治がはいり事態が複雑になってくる。統治も長くなってくると日本人に協力して同化する者が出てくる。部族の伝統と文明の狭間で悩むセデック族の二人が悲しい。蛮族で首かり族なんで日本人を皆殺しにするのは、現代から観れば野蛮ですが、当時の蛮族の考えでは当たり前なんでそこが観ていて嫌な気分にさせられる。しかし、全編に漂うのは、滅び行く少数民族の悲劇である。首かりの儀式は、幕末まで日本でも首を取ってくる行為があったことからアジアの伝統なのかと考えさせられる。「ダンスウィズウルブス」のようにも見えるが、見事な叙事詩であった。日本人俳優の演技も少し臭いがまあまあ良かったと思いますね。種田陽平の美術も見ものですね。前作の「海角七号」と比べると一段と映画的になっており今後が楽しみですね。
上海十月

上海十月