ニコラス・ウィンディング・レフンが監督・共同脚本を務めた、2008年公開の犯罪伝記ドラマ。
・そのあまりの才気走り具合には『ドライヴ』(2011)しか観たことがない私ですら画面から溢れ出る濃厚なレフン味を感じ取らざるを得ない、あのキレッキレ過ぎるオープニング。
・言うなれば本作は『ドライヴ』の「エレベーターのシーン」だけを92分間全面展開したような映画。
・全編ひたすら暴力を繰り返すだけの話で尚且つ主人公マイケルはこんなルックスなのに、それでもトム・ハーディにはちゃんと可愛さがある。そんな彼の可愛さにいち早く目を付けていたレフンのセンス、恐るべし。
明確なストーリーが無い分人によっては本作の「異常性」的な部分だけが目立ちひたすら困惑してしまうかもしれませんが、少なくとも鑑賞後に残るこの独特の余韻は他のどの作品とも被りませんし、好きなシーンは沢山あるのに結果的には「ヤバい映画だった」としか言い表せなくなるこの感覚はやはり『ドライヴ』を観た時のそれに一番近いです。トム・ハーディの出世作としてもこれは一見の価値あり!
「暴力の連鎖」「理由なき暴力」という言葉をここまで分かりやすく画にした映画もなかなか無い。