ポール・ヴァーホーベンの映画においてはしばしば、視線の先にあるもの、誰かしらの思惑が反映される物体・物象をとらえたインサートショットが、露骨に、観客の欲望にあっけなく応えるかたちで限りなく下品に呈示される。組み替えた足の隙間に湿った陰毛が覗いたかと思えば(パンティを履いていないことは観客全員が周知の上で)、汗まみれの太った男の顔を真正面からクロースアップしてみせるし、マイケル・ダグラスに騎乗位で覆いかぶさるシャロン・ストーンが裸身を反らしてフレームアウトした後その手に何も持っていなかったとしても、ベッドの下にはまるで展示されてるかのようにスポットを当てられたアイスピックが息を潜めて待機している。