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スノータウンののんchanのレビュー・感想・評価

スノータウン(2011年製作の映画)
3.9
『ニトラム/NITRAM』のジャスティン•カーゼル監督の長編デビュー作。 
↑は1996.4.28に起きた「ポート•アーサー事件」(無差別銃乱射による大量殺人事件)を映画化したものだが、こちらも同じく実話事件の映画化で、監督は一貫してオーストラリアの闇や不可解な事件を真正面から描き切るスタイルは変わらないと痛感した。

オーストラリアのスノータウンで1992年から約7年に渡って起きた「スノータウン男女12人猟奇殺人事件」がベースの社会派ドラマ。

実話好きで世の中の知らないことを一つでも多く知りたい精神の私はショックが大きいながらも、日本でも起きることがある猟奇事件は目を塞がずに知るべきだと思っている。

監督は事件のリサーチが半端ないと感じるリアリティある殺人方法を駆使して描き切っていた(調べたら実際の事件の方がもっと激しかった)


オーストラリア南部の郊外の町スノータウン。
16歳の次男ジェイミーは学校へ行かず、シングルマザーで男が絶えない母と障がいを抱えた弟の面倒を見て暮らしていた。
ある日、母が留守を頼んだ隣人の男からジェイミーと弟2人は裸にされ写真を撮られ性的虐待を受けたが母に言えずだった。
そんな折、母の新しい彼氏ジョンが現れる。にこやかに食事を作ったり親切にしてくれて、ジェイミーは心から尊敬するようになるのだが...
徐々にジョンの本性が現れる。とにかく同性愛、小児性愛を嫌い、町から"異常性愛者を根絶する"を掲げて、それは非道なやり方で楽しむように殺人を繰り返すのだった。しかし、みな顔見知りの関係なのだ。知り合いやジェイミーの友人、実はジェイミーをレイプした兄(長男)まで手をかけていく。最初は信じられず涙を流すジェイミーだったが、逃げるに逃げられず、幇助していくしかなくなるのだった...

ジョンはサイコキラー。それに右倣えする仲間。仕方なく従うしかなかったジェイミーも手を染める。

ラストにそれぞれの実刑判決結果が出るが、ジェイミーは4人の殺人罪で26年の保釈なしの終身刑。だが証言に応じ偽名で出所。住所は明かされていない。2025年に再判決が下る予定、45歳になる。


ニトラムもそう感じたが、精神的に追い詰められどうしようもなく犯罪に手を染めてしまう。
周りの気付きや事件防止になるような気遣いが少しでもあったならと...

かなりグロテスクな描写があり、ホラーよりもっと怖いです。

ジャケ写が物語ってます。
手前がジェイミー、後ろはサイコキラーのジョン
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