ハレルヤ

メイジーの瞳のハレルヤのレビュー・感想・評価

メイジーの瞳(2012年製作の映画)
4.3
ロックシンガーの母親と美術商の父親を持つメイジー。両親は離婚していて、共同親権のある2人の家を行き来する日々。しかし母親も父親もそれぞれ自分の事を優先していて、メイジーは居場所を失いそうになる。そんな身勝手な大人の事情をメイジーの目線から描いたドラマ。

メチャクチャ胸に突き刺さりました。メイジーと歳の近い娘がいるだけに絵空事とは思えない出来事で、見終わっても様々な感情が頭を駆け巡ります。

親からの愛情が欲しいだけ。この歳の子供なら当然ですが、それもほとんど叶わないメイジー。孤独な彼女の姿をオタナ・アプリールが素晴らしい名演で見せてくれました。

文句も言わず、大人に振り回される中での切ない表情と、遊んでいる時の無邪気な表情の対比がよく表れていたと思います。これだけ凄い演技だったのに、出演作は本作だけというのはちょっと勿体無い気がしましたね。

そして自分勝手な母親役には名女優ジュリアン・ムーア。父親側にも言える事ですが娘の事は嫌いじゃないけど、彼女よりも自分の事を中心に物事を進める人間で、親に向いていないタイプ。その演技力は本当に抜群でした。

両親のそれぞれの再婚相手が主に面倒を見てくれて、やがて実の親よりも愛情を感じるようになるメイジー。そこでの温かみは見てて心に染みますし、無償の愛としてメイジーを愛する再婚相手のマーゴとリンカーンの2人の人間性も素晴らしかった。

実際こんな良い人はなかなか居ないと思いますが、血の繋がりは無いけれど子供と接する人の理想像として、しっかりと表していたと思います。

日本ではそこまで人気に繋がるタイプの映画ではないと思いますが、是非多くの人にご覧になってほしい秀作。特に小さなお子さんがいる方なら必見の作品だと思います。
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