ハリ

きっと、うまくいくのハリのネタバレレビュー・内容・結末

きっと、うまくいく(2009年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

大学卒業後10年間行方不明だったランチョーと再開するべく親友であるファルハーンとラージューは旅に出る。

凄く良い映画だった。ハートウォーミングな話でかなり好み。凄い突出した所はあまり無いが170分という長尺を感じさせないテンポと飽きさせないような細かなストーリーが沢山含まれている。

10年後の現在のロードムービーと学生時代の交流を交互に描く構成となっていて、ランチョーを慕う者、恋をする者、敵対する者、それぞれの登場人物にもしっかりとストーリーがあり、ランチョーと出会う事での価値観の変化を感じられた。周囲の人間達を巻き込むカリスマ性が全面に出されたランチョーのキャラのおかげで他のキャラクターもとても愛されキャラとして仕上がっている。

インドの格差社会や競争社会の在り方に一石を投じる内容だが、全く重苦しく見せない青春コメディとして完成度が高く仕上がっている。先輩への感電、学長のボールペン、使用人のように使われるミリメートル(mm)、ラージューの祈り、ファルハーンが大学に入ってすぐに猫の写真を撮る、など前半で起こった出来事が後々でしっかりと回収される様は気持ちよかった。

そして10年後の大成功を収めたランチョーの正体が判明する下りがとても美しくスッキリとしたラストシーン。

序盤にランチョーが「教室に居るのが嬉しい」と発言したが、これがランチョーは元々カーストの低い産まれであることに繋がっているのが凄いなと感じた。歪なバックボーンを持つランチョーだからこそ"正しい"教育の在り方、生き方を身を持って体現出来る唯一無二のキャラクターとして仕上がっていた。
ランチョーばかりにフォーカスが当たってしまうが個人的にはラージューもとても良いキャラだったな〜、ランチョーに感化されて自分の殻を打ち破って望んだ面接のシーンは屈指の名場面。

ただ単に教科書を丸暗記しテストの点を取る為に勉強し認められる為だけに努力するのでは無く、本で得た知識だけでは無く生の体験で得る事のできる学問の本質を説いてくれている作品。

自分らしく今を一生懸命生きる、努力をすれば結果は付いてくるという太いテーマが一貫しており何回でも観たくなる映画だった。
・あまりにも高い前評判
・馴染みのないインド映画という不安
・170分という長尺
これらのハードルを余裕で超えてきてくれた作品
個人的評価:名作
ハリ

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