Mariko

ブリングリングのMarikoのレビュー・感想・評価

ブリングリング(2013年製作の映画)
3.4
ソフィア・コッポラらしい、ティーンエイジャーがもつ毒っけと無垢さを描いた作品だった。
ハリウッドスターたちのお宅に侵入して、ブランドものを盗みまくるティーンエイジャー窃盗グループのお話なんだけれど、突き詰めるとデジタルネイティヴならではの記号消費のお話。
映画のシーンの中に、沢山の自撮り・facebookポストのシーンが出てくる。
私だって耳が痛い。だって自撮りの写真をあげちゃったり、加工で良くみせちゃったり、生活の一部の良く出来た部分をポストしちゃったり。
そういうのが過剰になってしまったティーンたちのお話。
タバコを吸うこと、ドラッグをヤること、クラブで踊ること、パリス・ヒルトンのお家に忍び込むこと、そこで沢山のブランドものを盗ること、それを周囲に自慢すること、それらを全部写真に丸め込みキメるドヤ顔、全てが自分を等身大よりも大きく魅せるための手段。

そこに目的なんか何もない、だからこそコワイ。
どんどん羽目を外して中毒になっていく感じが怖かった。
ドラッグとまるで同じ症状。
偽りの"イケテル"に振り回されるティーンエイジャー。
(最後のシーンで主犯の女の子が、取り調べを受ける際警官に「被害者には会った?」と聞き、警官が「全員と会ったよ」と返すと、その子が「リンジー・ローハンはなんて!?」と言ったシーンに一番狂気を感じた。"嗚呼、それさえも消費していくのか"って。)

ティーンエイジャーならではの、オトナの前でどんどん自分を偽り「悪い事」をしている自分に酔う毒っけと、時代がつくったデジタルの世界と、そこで繰り広げられる自慢やマウント合戦、自分もここの戦場で勝ち進まなければ!というある意味周囲の状態を「リアル」であると信じ込む無垢さからくる盲目的な行動。

褒め言葉として、虚しい映画だな〜と思った。
だって何も手には残ってない残ってるのは記号だけ。
自分を持たねば…と深く思った…。
Mariko

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