おれさま

アンチヴァイラルのおれさまのレビュー・感想・評価

アンチヴァイラル(2012年製作の映画)
4.1
"あなたの肉体と細胞に彼女が入っていくのです"

本日のホラーに負けない会選定作品が手元に無いため…そのクローネンバーグ監督の息子、ブランドン・クローネンバーグの長編デビュー作を視聴という暴挙。

倫理的にアウトだし、今では扱いづらい内容ですが、面白い。いやー、面白い。医療職としての観点はなしで、めちゃくちゃ楽しめました。

セレブの体内で発症したウイルスを売買するという世界線。なんならセレブの細胞入りの肉も主食にしちゃうイカれた人民たち。過剰なセレブ信仰、言うならば、推しが尊いの延長。
この一文だけでも好みは分かれるだろうし、嫌悪感を抱く人さえいると思う。直接的に病原菌を体内に取り入れるなんて狂気の沙汰。しかし、人によってはこれはちょっとした羨望的芸術作品なのかもしれませんね。また、表情のない美形主人公、より一層体調の悪さを引き立てております。
終わり方も見事。あの永久機関、最高でした。

血管・採血フェチの方は稀にいらっしゃると思います。自身は医療職であり、採血できる側の人間でもあります。なので採る側も採られる側の気持ちもわかります。痛いよねー、刺すよねー、よく刺さるよねー。安心してください、いま少しずつ痛みが少なくなるよう針も進化していってますからね。
そして血管って奥が深いですよね。人間の全身を張り巡らされた道ですからね、途中で解離したり破綻したり詰まったら、その先は終わっちゃうんですからね、脳血管なんて特にロマン溢れてる。奥が深い。
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