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鉄西区のkentaromoriのレビュー・感想・評価

鉄西区(2003年製作の映画)
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第一部
・産業革命の時代はこのようなものだったのかもしれない。
粉塵は飛び交い、労働者は劣悪な環境で働かざるをえない。(業務の細かい規定などないし、労働環境に抗する組合もない、という原初状態にある)
・全裸で中国将棋を指す画などは、フィクションでは思い浮かばない圧倒的なリアリティがある。
・後半いよいよ工場は倒産にいたるが、不思議と悲壮感がない。廃工場でカラオケをしたりサックスを吹いたり魚を捕ったりする、かと思えば突如として死体が映りこむ。

「中国の運命は中国のもの
中国は未来へ走り続ける」

第二部
一転、なんなんだこのみずみずしいまでの青春は!
終わりゆく町こそが「映画的」なのか。
しかしその青春も、町まるごとの強制一斉退去により強制終了させられる。

「この世に救世主などいない」

第三部
線路沿いに不法居座りし続ける親子。そして大量の家族写真。
驚くことに、おそらくワン・ビンはこの親子を最初から撮ろうとしていなくて、撮っているうちにこのモチーフに導かれている。
その嗅覚のみによって、この膨大なフッテージがあり、それが9時間に結実している。

「生きていくのは大変だ
人生は厳しい」
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