鉄西区の作品情報・感想・評価

鉄西区2003年製作の映画)

鉄西区

製作国:

上映時間:545分

4.1

「鉄西区」に投稿された感想・評価

ひる

ひるの感想・評価

4.2
ふぅーっ完走したぜぇ。映画館で一気に観たかったやつ。工場の手すりに沿ってフレームを合わせていくキャメラワークが素晴らしい。喧嘩したり、女性の話で盛り上がったり、家族の愚痴を言ったりと労働者のホモソ空間をじっと立ったまま捉える。幾度となく挿入される路線のショットが見事なまでに工場街の衰退と廃墟を表していて、そこに三年もの撮影期間の執念を感じる。列車のショットに関してはリュミエールを狙っているとさえ思った。家族写真を見る男性の額に何か垂れてると思うと涙が溢れていて、ついつい釣られてしまった。こうして無名の人々に光を当て、デジタルキャメラの使い手ワン・ビンが誕生したんやなぁ。
あ

あの感想・評価

5.0
556分。今日のバイトの時間と同じじゃねえかと苦笑しながら見始めた。21時半に見始めて終わったのが朝6時前だなんて、そしてこの後も9時間近い労働に行くのか、ハハハ!と思ったがとんだ傑作だ!嬉しい。全編通して思ったのは普通なら憚ってしまうような近さのカメラで見つめる顔面の破壊力が観客をギョッとさせ、そして見つめられるカメラは敗北してしまうということ。かと思えば説教からカメラを背くの人間らしくてオモロイ。あとカメラがここだ!と思って追いかけても何も起きなかったのかすぐ切り替わるのに、切り替わったところが面白いというのが観続けられる一つのポイントなのかもしれない。特に一章。

➀この時期に珍しい生き残った蝉が殻を脱いでいくように、時代によって一つ、また一つと工場が閉鎖していく。寝食を共にし家族に見せるのに近いような二面性が見えてくる、そんな内部が現れているように思えた。学校では何も教わらず、職が無くなった後の希望が薄くてもトランペットを吹き、貝を取り、タバコを吸い、風俗に行く、その楽観さが男には必要なのだと言わんばかりに男たちは笑っていた。巨大な抜け殻のような裸の工場がスタイリッシュ。

➁いつの時代でも、どの場所でも、若者の共通言語として恋は存在するのだ。「足がいっぱい!」の名言を生んだ名シーン、その他名場面だらけで目が冴えてくる。行政行為の惨さ。裸になった町の哀愁さったらない。

➂「親密さ」のラストシーンしかり時として電車や鉄道が主役になる映画が好きだ。冬から秋へと駆け抜ける列車、寒さは春への助走だ!鉄道員が話す話題は女とSEXだし、「インポ!」の字幕のインパクトが凄い。かと思えば線路沿いに住む家族に話は進んでいって、油断をすれば父と子の物語に号泣。そして息子の涙に心を打たれない者はいないだろう。
Ichiro

Ichiroの感想・評価

3.7
"象は静かに座っている"やジャジャンクー作品で描写される、閉塞的な中国の地方都市の姿。それを濃縮して、9時間ぶっ続けである。今でも地方都市はこんな感じなのだろうか。驚くほどのディストピア。それでも生活の喜びは所々に垣間見える。
kentaro

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-
第一部
・産業革命の時代はこのようなものだったのかもしれない。
粉塵は飛び交い、労働者は劣悪な環境で働かざるをえない。(業務の細かい規定などないし、労働環境に抗する組合もない、という原初状態にある)
・全裸で中国将棋を指す画などは、フィクションでは思い浮かばない圧倒的なリアリティがある。
・後半いよいよ工場は倒産にいたるが、不思議と悲壮感がない。廃工場でカラオケをしたりサックスを吹いたり魚を捕ったりする、かと思えば突如として死体が映りこむ。

「中国の運命は中国のもの
中国は未来へ走り続ける」

第二部
一転、なんなんだこのみずみずしいまでの青春は!
終わりゆく町こそが「映画的」なのか。
しかしその青春も、町まるごとの強制一斉退去により強制終了させられる。

「この世に救世主などいない」

第三部
線路沿いに不法居座りし続ける親子。そして大量の家族写真。
驚くことに、おそらくワン・ビンはこの親子を最初から撮ろうとしていなくて、撮っているうちにこのモチーフに導かれている。
その嗅覚のみによって、この膨大なフッテージがあり、それが9時間に結実している。

「生きていくのは大変だ
人生は厳しい」
takoya

takoyaの感想・評価

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第一部が何回かチャレンジしたが途中で寝てしまう。第二部と第三部はそれなりにちゃんと観れた。
何かの意図を持って撮りに行くのではなく、ひたすら回してそこで起こることを記録してそれを繋いでいるような印象で、無名な人々の人生にも映画的な瞬間があってそれが捉えられているのは感動的だった。
しかし、それにしても長かった。。。他のワン・ビン作品どうしようかな…
1999年冬から2001年春まで。世紀をまたぐ中国の工業都市の記録。@vimeo

第一部「工場」☆☆★
巨大工場が屍となるまで。素っ裸で工場内をうろつく風呂場の動線がまずおかしいが、破産後の工場でその風呂だけが沸き続けている下りがエモすぎる。「今撮っておけ、すぐ無くなるぞ」

第二部「街」☆☆
艶粉街の青春白書かよーなんだかなーと思っていたら、青春が街ごと再開発でなくなるという凄まじい展開に。雪と塵と泥のスラム。工場はバカでかいのになぜ労働者の家はあんなに狭いのか。

第三部「鉄路」☆☆☆
老杜のおっちゃんとファザコン酒乱息子のエピソードから目が離せない。大切そうに家族写真を見る下りで涙。三部作で唯一ラストに人間らしい幸せが写っていて救われたが、犬の毛毛ちゃんはどこいったの?
上旬

上旬の感想・評価

3.5
【キネマ旬報00年代外国映画ベストテン 第9位】
いやー、9時間完走!疲れた!
今や世界を代表するドキュメンタリーの巨匠となっている王兵監督の処女作。

政府や役所の勝手な都合に振り回される労働者たち。すべての人を平等に豊かにする共産思想のはずなのに。時折主観ショットが入るところにはハッとした。監督は本当にフラットに撮っているが、社会に対して疑問を持っており、それに応えるように全ての部で「いい顔」が見出されるんだよな。「いい顔」とは映画の言いたいことを体現するような人のこと。

第一部でおばちゃんがやたらと歌が上手かったり、第二部で不良仲間とつるんで恋バナして些細なことで喧嘩する青年(どう見ても17歳にはみえない)とか、第三部で捕らえられた父親を心配する息子とか、どうでもいいのになんか素敵だった。特に第三部の父と息子は泣いちゃったな。

権力者側は見せずに労働者を映し続けることでより悲惨な現状がリアルに突き刺さる。
映画の歴史はリュミエール兄弟の『ラ・シオタ駅への列車の到着』で始まり、その後の『工場の出口』など産業と切っても切り離せない関係だった。そしてワン・ビンの今作はまさに「工場」「労働者」「鉄道」という中国における産業の歴史を紐解くと同時に最初に述べた作品など映画史への崇高なリスペクトである。3部作合計9時間16分という壮大な物語はミレニアムを迎え中国が本格的に大国としての地力をつけてきたタイミングで置き去りにされていく労働者やその家族たちへ向けるカメラに慈しみを感じる。
あーち

あーちの感想・評価

4.1
【Help! The 映画配給会社プロジェクト 〜ムヴィオラ】

三部構成、全9時間!ここまで長い作品は人生初。でもこれが全く飽きないのだ。本作が処女作とはワン・ビン本当に恐るべし、凄いよ。
ヒチ

ヒチの感想・評価

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第一部だけ鑑賞。突然中国の工業地帯にブチ込まれて右も左も分からないまま連れ回された感じ。映画館を出た後自分が中国の鉄西区じゃなくて東京の水道橋にいることが理解できなくて引き裂かれた感じがした。