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ペトラ・フォン・カントの苦い涙のYKのレビュー・感想・評価

3.5
びっくりするぐらい寝たけど、目が覚めるたび主人公ペトラの顔つきが変わってて主演の人すごいなと思った。そして忘れられないのは舞台となる部屋。どデカ宗教画に白いベッドとフワフワの絨毯。両側に奥行きがあって画面構成に生かされている。奥の空間にいるのがマルレーネという女性で、彼女はペトラの使用人的立ち位置だが、劇中は一度も声を発さない。それなのに、その真っ白な顔と静かで強い眼差しは脳裏に焼き付いて離れず、この映画のもう一人の主人公ともいえる存在感を放っている。実際、冒頭には「本作でマルレーネを演じるすべての者に捧ぐ」という献辞が付けられている。

中盤のできごとは想像で埋めるしかないけど、ラストシーンの潔さは忘れられない。
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