教訓的な話ではあるが、愛と支配(所有)の関係性が分からなくなってきてしまい焦る。
あまりにも愚かしい場面に感じる少しのシンパシーがある意味で気持ちが乗りやすかった部分として確かに存在し、個人的にファスビンダー作品で一番好きかもしれない。
元々は戯曲の会話劇なだけに早々に演劇を観ている感覚だが、精緻な撮影と物語終盤の画なんて素晴らしく映画的で良かった。
ペトラ・フォン・カント自体が極端に支配欲の強い人物として描かれているが、"本当の愛とは何か？"を考えた時にそのような欲が一切存在しない愛を果たして愛と呼べるのかと疑問に感じてしまった自分はいつしか彼女のようになってしまうのか。
客観視した時の爽快さと内面的に共鳴する苦味を両方とも感じながら物語が閉じていくあたり大好き。
［2023年 197本目］
