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ペトラ・フォン・カントの苦い涙のchiyoのレビュー・感想・評価

3.5
2024/3/3
二度目の結婚に失敗して落ち込む、ファッションデザイナーのペトラ。元が戯曲なこともあり、舞台はペトラの住まい兼アトリエの一室のみ、登場人物も数人と少なめ。そして、ファッションがやたらと豪華で、室内の絵画もインパクト絶大。が、そんな中で誰よりも目を引くのが、地味目なペトラの助手・マレーネ。他者とは違ってファッションは黒に統一、ペトラやカーリンに冷たくあしらわれても一言も言葉を発しない。時に悲しそうな表情を見せるのが居た堪れない反面、誰よりもペトラや周りのことを熟知している。ただ、約2時間の会話劇はなかなかにしんどく、ペトラの自己中心的な言動も苦手で見ていられない。それでも、惹き付ける魅力のある作品で、これがファスビンダーなのか、と思わせられる。ラストのマレーネが格好良く、思わず喝采を贈りたくなるほど素敵。
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