眼鏡の錬金術師

武士の献立の眼鏡の錬金術師のレビュー・感想・評価

武士の献立(2013年製作の映画)
3.6
加賀藩。武士なんだけど料理人、通称「包丁ザムライ」。

包丁ザムライになりたくてなったわけでない夫に嫁いだ女性「はる」を描いた作品。
料理は女子どものするものと悪態をつく夫をたしなめ、料理指南を施す姉さん女房。
この時代でこんなに嫁が意見したら普通は夫の怒りを買っちゃうところだろうけどな。それでもおしどり夫婦的な表現がなされているのは現代的でもある。

はるの支えにより包丁ザムライとして成長を遂げる夫。しかし一方で武士らしく政争に参加できないことに負い目を感じ続けてもいる。
さらに友人の死や幼なじみの不幸などの重いストーリーを背負っていて、友人の敵のために料理を振る舞うというのもあって、かなり複雑な感情を持ちながら料理をする画は、単なる料理ではなく、包丁ザムライによる戦いとしてちゃんと昇華されていたと思う。

最後もちょっと感動するし、全体的に地味だけど、時代劇慣れしてる人ならあまり気にならないだろうし、結構な良作だと思う。

「つまらないお役目だと思っているからつまらない料理しか作れないのではありませんか。」ってなセリフがドキッとした。自分の仕事に対する向き合いかたを見直す視点をくれた。