Tラモーン

ミークス・カットオフのTラモーンのレビュー・感想・評価

ミークス・カットオフ(2010年製作の映画)
3.8
不協和音と不信感をギスギスと静かに味わう独特な西部劇。


1985年、西部開拓時代のオレゴン州。移住を求め3つの家族が広大な荒野を渡る旅路に着いていた。彼らは近道を知っているとするミーク(ブルース・グリーンウッド)をガイドとして雇う。しかし、2週間で終わるはずだった旅は5週間経っても終わる兆しが見えない。荒野の真っ只中で、道に迷い、飢えと渇きに苦しみながら、3家族はミークへの不信感を募らせていく。


とても静かな作品。音楽もほとんどなく、冒頭10分くらいは会話すらなかった気がする。ただひたすらに、馬車に荷物を積み込んだ3家族が荒野を歩く様子が描かれて続ける。なのに引き込まれてしまう感覚はなんなのだろうか。

口先ばかり調子のいい、ならず者のような風体をしたミークへの不信感を表現するかのように、誰が話しているのかもわからないような真っ暗な中での夫婦間での不安の吐露や、ミークを除いた3夫の相談がとても生々しい。

溜まっていくミークへの不満。突如としてパーティに加わった先住民。命の危険が迫る極限状態の中でどちらを信じるのか。
こちらに委ねきったような作品だった。

"女は混沌。男は破壊"

たしかに男だけだったらあの状況下では先住民の危険を"破壊"し、思考停止で先住民を悪と決めつけ処分していたような気がする。
それに対して監督の女性視点があったからこそ、女性の感覚的な判断が印象的なラストシーンに繋がるのかな。

ライフルを構えるミシェル・ウィリアムスが逞しくて美しい。そしてゾーイ・カザンはやっぱり可愛い。
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