まりりんクイン

私の男のまりりんクインのレビュー・感想・評価

私の男(2013年製作の映画)
2.5
「あ、世界の終わりだ」
「今日からお前は俺のもんだ」

文学作品を映画化するにあたっての最大のネックは、こんな台詞を真顔で言って成立させなければならないことでしょう。至難の技ですが、二階堂ふみと浅野忠信は流石としかいいようがありませんね。

二階堂ふみのモンスターぶりがたまりません。僕の指も是非しゃぶってください。
中学生パートの、一見無邪気なのに一度喋り出すと
「こいつ只者じゃねえ…」感は
「害虫」の宮崎あおいを彷彿とさせる迫力があり素晴らしかったです。
大人パートでの変わりっぷりも、本当に同じ人かと疑う程で、天晴れでした。

そして浅野忠信の清々しい程の堕ちっぷり。最後のハゲ散らかし方と顔がむくんで目が腫れぼったい感じがリアルすぎて引きます。

「俺は父親になりたいだけだ」と言いながらその出会いの瞬間から完全に破綻した二人なんですが、役者陣の素晴らしい演技で違和感なく見せ切っていると感じました。

原作では時系列を遡る形で、徐々に二人の関係が明らかになるというミステリー仕立てな作りのようですが、その方が絶対にお話に吸引力があったと思います…
どうして時系列順にしてしまったんでしょう。
その結果なのか、最後は結構超現実的な感じで、あれだけのことをして何のお咎めもなく終わってしまったのが少し違和感で、
同時期に公開のものだと、完全に破綻してしまったのにそれでも希望を見せて終わる「そこのみにて光輝く」の方が好みでした。
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