KURUMI

恋の渦のKURUMIのネタバレレビュー・内容・結末

恋の渦(2013年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

これはすごい映画だ。

何がすごいって、人は他人に対して何通りもの自分を作り出せる(ように錯覚している)のに、他人については自分の目で見たままを信じ込むってことが描けていること。しかもほぼ会話のみで。
恋心を抱いた男女が室内で2人きりになるって状況は言わば舞台裏だと思うけど、そこでも人は与えられた役を演じるのだろうし、1人になったって演じ続けているのかもしれない。そんなことみんなわかってるのに、何故言葉を欲しがるんだろう?

シーンで印象に残ったのは、タカシが母親のため地元に去っていった直後のユウタとカオリの会話。
ユウタは、倒れた母親の状況とタカシの心境から「こんな時」に恋愛の話をしてる場合じゃないと思った。
対してカオリは「こんな時」でも自分とユウタの恋愛関係しか頭にない。母親のことを聞いた直後の『で、言ったの?』の切り返し。
男はいくら恋愛してても社会と切り離されることはないんじゃないかと思います。
でも女はねえ、完全に世界から断絶してしまう時があるんだろうね。

毎度書いている気がするけど、こういったことを自然な会話のやりとりで浮き彫りにするってのは相当なテクニックだと思います。ラストのオチまで練られていたし、構成がしっかりしている作品だなーと思いました。面白かった!
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