尿道流れ者

おとぎ話みたいの尿道流れ者のレビュー・感想・評価

おとぎ話みたい(2014年製作の映画)
3.5
小林大吾を思わせるポエトリーリーディングから始まるおとぎ話のような55分。

身体性という言葉が強調され、とても印象的に登場する。身体性や肉体性を象徴するのはバレエを踊る少女。対して理性や知性を象徴するのは少女の先生。この二人の恋が主題ではあるものの、一人の人間における肉体と理性の間にある躓きや同調が浮かび上がっているように感じた。
二人の恋は一つの共通点の発見から始まる。しかし、そこで気づくのは恋心だけではなく隔たりでもある。肉体は欲を求めるが理性がそれを遮る。
少女は同じように強い肉体性を持つ音楽をする先輩達にひかれて理想郷としての東京を目指す。先生は後押しをするが、自分自身は理想郷とは距離をとっている。
肉体は強く情熱的で卑俗なまでに全てを求めるが常に理性の声かけに耳を貸し、自らを律する。同じように少女も自らの願望と先生への恋の間で揺れる。理性と肉体が二つで理想郷を目指すことはまるでおとぎ話のような夢物語で、現実には地獄めぐりのような茨の道を歩むことになる。
本当は互いに手をとりあうべき肉体と理性は多くの場合がそうならず、夢の中で踊り続ける肉体を理性はただ見て泣くしかない。
理性よりも熱く狂暴な肉体が先行していくところは凄く胸に来た。
こんなはずではなかったという無念感に喉が詰まりそうだった。


映像と音楽のインディーズ感のみで走り抜ける感じは良かったが、もう少し新しさや面白い映像がみたかった。おとぎ話というバンドの演技がいかにも自主制作って感じで物足りなかったが、ボーカルの人の優しい感じが個人的にはツボだった。
主役で水谷豊の娘・趣理の白いハイソックスより白い肌に興奮したり、パンチラチャンスが近づくたびに、頭の中のリトル水谷豊が「おやおや、いけませんねぇ」と我が欲望を制してくるのにひどく疲れた。