ラズベリー賞までとって下品だ下品だと言われたらしいけど..
これ、すごく評価できる作品だと思いました。
意外にシスターフッドに向き合ってる気がする。
最近の作品でいうと、HBOドラマDEUSに近いかな。
あわれキワモノ演出というシーンももちろんあるんだけど、ノエミが魅力的で心情の変遷も納得できる。
この作品の「下品さ」はどちらかというと裸体とか云々ではなく、周りの男たちの下劣さの描写に使われてる気がして、単に見せ物じゃなくて意味があったんではないかと。
だからいろんな描写あっても、最後までノエミの物語だ、と思える。女たちの修羅物語〜でもなく、ちゃんとノエミの話。
実際のベガスのショー、こんな感じの裏側の時代もあったんだと思うし。
特に印象的だったのは、ノエミのママ的存在になる女性と、クリスタル、黒人青年、ノエミのルームメイト。
最後ノエミのルームメイトに起きる事件は...よくエピソードとして入れたなと思う。見せ方は今日の価値観ではともかく..
シスターフッドのあり方が単調じゃないのがよかった。特に、ルームメイトの仇を取った足で向かうクリスタルの病室でのやり取りは凄みがあります。
このショーの世界に、ポン引きと女たちだけではなく、例の黒人青年のようなキャラの空間があるのも奥行きになってたと思う。下心半分と創作心半分というのも素直で。
この辺で、足を洗うとか洗わないとかいう単純な二択でなく、人生にいろいろあって真っ向から進んでいる人たちという描き方が感じられるのがいい。
そしてカイル・マクラクラン。この人が変態紳士なのは今に始まったことじゃないけど、この作品ではかなり露出的なのにちょいとびっくり。
この役回りって他のショーガールものでは多い役回りで..マンネリにならなかったのは、カイルの気品あってこそだと。これだけ露悪的なのにまだ品があるのか..!とびっくりです。サイコパスというのでもなく、裏表というのでもなく、すらりとやってのけるのが彼の面白いところですね。
satcやdhwでマザコン気味サイコパスおぼっちゃま化する一歩手前の時期ですね。
余談だけど、変態紳士役がこれだけ定着してる俳優であるにも関わらず、同時にピクサーの主人公のパパとかにも抜擢されてるって稀有だなあ?笑