AKIRA

さらば箱舟のAKIRAのレビュー・感想・評価

さらば箱舟(1982年製作の映画)
-
設定が高尚な、メタファーな気がした。
絶対的存在、時間を司る特権的な"本家"と、掟を破った(いとこ同士で結婚した)"分家"。分家が途中で時計を手に入れて本家から分離した存在であることからもそれが分かる(そもそも煙たがられてるというのもあるが)。だが分家にとっては、本家との比較という意識が不可欠なために(本家が"当たり前"という価値観を提供し普遍的だと皆思っているので"分家"を村八分のようにからかうことができる。比較対象がなければ相対的なものしか存在しないはずなので)、弾かれているというのもあるので、本家の主人を殺害して以降、謎に分家の捨吉が亡霊のように生き、だが脳内では本家の主人と仲良くなっていくのも、価値観というものは相対的なものだとする比喩のように思えた(絶対的な軸がなくなり、価値観への迷いのようなターム)。
冥界との入り口というのも、価値観の死、ということなのかも、とも思わせられた。
エンドロール前、写真を撮られて服装が変化するのも、時間と共に今や当たり前と思える価値観も、その当時と共に死を迎えるほど揺らぎがあるというのも示しているようにも思える。
AKIRA

AKIRA