このレビューはネタバレを含みます
こんなに美しい映画が日本に存在していたなんて。
『水』というものが恐ろしいくらいに綺麗に映されている。
オープニングの、テーマ曲と共に海にロープに繋がれた海女が降りてきてタイトルが出るところからもう何とも言えず幻想的な美しさがある。
また、終盤のみぎわが鮮血を浴びながら目に入った人々を手当たり次第に銛で刺していくところも、何とも言えぬ哀愁が漂っていて美しい。
それから、漂う夫の死体を海の底から映すのとか、髪の毛を切って焼香にするところとか、最初の殺害の、何回もナイフで刺して部屋を血まみれにしたあと、鮮血浴びたまま夜を明かすところとか、雨の中プールに男を沈めるところとか、ラストのみぎわが精神世界で人魚のような風貌に変化していくところとか、挙げるとキリがないけれども、テーマ曲を乗せて流れる映像がとにかく美しくて、言葉によらない雄弁さがあり、見事だった。