ちゃんしん

静かなる叫びのちゃんしんのレビュー・感想・評価

静かなる叫び(2009年製作の映画)
3.2
一番怖いのは精神異常。

人間の思考回路ほど不確実性があるものはない…。
何故ならその意思決定がいつの時も自分自身に都合良く行えてしまうからだ。
つまりその時の自分の気分や感情によっても変わってしまうし、判断材料の量や質によっても変わってしまう…。
さらには自分の思い込みや趣味嗜好が反映され過ぎて自分勝手な判断がより自分自身の為になるように作り上げられる。
まあ良く言えばその思考は個性的だと言えるかもしれないが、悪く言えば我が儘な考え方だということになる。

その上で厄介な問題として考えられるのが、いろんな他の思考を理解、考慮した上で自己の個性的思考を認識していれば良いのだけれども、一部において他の思考を拒絶し排除しなければならないというほど、極端な思考回路を持ってしまう人が出てきてしまうことだ。
他の考え方、意見を聞かない…、自分が良ければそれでいい…、他は関係ない…。
こうなると、もう手の付けようがない。

人間の思考回路は自分に都合良く働くから、次から次へと自分以外の考え方、他者の排除に動いてしまう。
その究極が無差別殺人のような犯罪になってしまうのだろう。

自分自身に他者との繋がり、社会との繋がり、社会の一部としての存在認識があれば、他の思考を許容する余裕があるのだろうが、社会から隔離されていると認識してしまい、自身の存在認識が欠如してしまったとしたら、もう他の思考を許容する必然性が無くなってしまう…。
このような精神異常ほど止められないものはない。
まだ世の中の悪が「誰にも言うんじゃないぞ!」と言って悪事を働くことの方が対処しやすい。
単純に、誰にも言うな!=バレたら終わる…ということだから、全てを公にしてしまえばいいだけだ…。
バレてしまっているのに、さらに犯罪を犯すのは本当の馬鹿しかいない。
しかし、もうどうなってもいい、死んでもいいと覚悟してしまった精神異常者はそうはいかない…。

これから先、どんどん個人主義が増えて、仮想世界での殺戮ゲーム、非人道的な映像の過多から、その現実感や罪の意識を伴わない思考回路を持つ人間が多くなるだろう。
この先、果たしてどんな未来が待っているというのだろうか?
自分には今の世の中からは、悲しいことに何故か明るい未来は想像出来ない…。
ちゃんしん

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