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赤い航路の一人旅のレビュー・感想・評価

赤い航路(1992年製作の映画)
4.0
ロマン・ポランスキー監督作。

フランスの作家:パスカル・ブリュックネールによる1981年発表の小説「Lunes de fiel(苦月)」を鬼才:ロマン・ポランスキーが映画化した作品で、男女の倒錯した愛憎を官能的に描き出しています。

結婚7年目の倦怠期の英国人夫婦:ナイジェルとフィオナが、豪華客船でクルーズ旅行に出かけ、その船上で車椅子の米国人作家:オスカーとフランス人ダンサー:ミミの夫婦に出逢い、オスカーはナイジェルにミミとの馴れ初めや夫婦の倒錯した愛憎の歴史を一方的に語り始めて―という官能ドラマで、生真面目な英国人夫婦が作家夫婦の奔放な性の世界に翻弄され、内に秘めた“性の解放”がもたらされていく様子をエロティックに映し出しています。

ポランスキーはキャリア初期作『欲望の館』(72)でも風光明媚な海沿いの風景を背後に白昼夢的な倒錯した性の世界を表現しましたが、本作ではより写実的に男女間+αの倒錯した性と愛憎を、船上における二組の夫婦の関わり&パリ時代の回想を交互にして描き出しています。

ヒュー・グラント、クリスティン・スコット・トーマス、ピーター・コヨーテ、エマニュエル・セニエが対照的な二組の夫婦を妙演していますが、自分の妻であるエマニュエル・セニエをヌードにしてピーター・コヨーテと濃厚な濡れ場を演じさせたポランスキー監督自身の倒錯性が一番際立っていると思います…。
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