性の倒錯、それによる迷いや揺れがものすごく前面に出ている映画でした。
結婚7年目の若い夫婦のインド旅行に向かう船旅。そこで出会った不思議な美女と車椅子の男の夫婦。
夫(ヒューグラント)は何故か車椅子の男から夫婦の出会いから始まる身の上話を聞かされることに。だが、倒錯と屈折に満ちた性愛について聞かされるうちに、ヒューグラントの心も無意識に揺れるのであった…。
ロマンポランスキーの癖(へき)全開!最高!っていう。
それ以外の言葉が見当たらないほどに作り手の切実さに溢れてる。
正直登場人物たちの気持ちを理解するには人生経験が足りてない僕ですが、でもこの映画のヒューグラントやピーターコヨーテには爆笑しながら「オイオイ!」と突っ込む反面で「もし自分が全く同じ状況だったとしたらこうなるかもしれない」とも考えてしまいました。
ヒューグラントの一連の行動、ピーターコヨーテの行動は性欲特有の身勝手さがある。
勝手な願望や崇拝で相手に期待し、勝手に失望し、勝手な理屈で突き放す。一目惚れ(じゃなくても)の行き過ぎた末路として似たような話は現実にいくらでもあるよね。
もちろんこれは現実では男と女、どちらでもあるお話ですが、この映画ではその身勝手さを男が引き受けている。
2人の妻は同じような不誠実、不義理を受けていたわけで終盤の展開は急でありながら誰もが納得したと思います。
そして衝撃のラストはまさに男の身勝手な終わらせ方なわけで、彼女の涙は…受け止める彼はすっごい複雑な気持ちなんじゃないかな。
彼ら多分この映画のあと、別れるぜ。