【2013年キネマ旬報外国映画ベストテン 第9位】
近年『アラビアン・ナイト』三部作でも注目されたポルトガルのミゲル・ゴメス監督作品。ベルリン映画祭で二冠を獲得した。
冒頭の映画内映画から第一部、本来関係ない人を追っていき、第二部の本題へ進むという構成がまず見事。
ざらざらとした質感の白黒撮影が、じりじりと照りつけるポルトガルとアフリカの風土と合っている。
基本ナレーションで進む物語には興味を持てないことが多いのだが、本作はナレーションと映像の組み合わせが実に巧み。
第一部の少し倦怠的な中年女性の佇まいがあるからこそ、第二部の許されない、若かりし愛が光る。
アウロラ役の二人がとても似ていて物語にすっと入っていける。ナレーションはあくまで補助的で、余白をあえて残した映像がとても美しい。