みんちゃん

Strange Circus 奇妙なサーカスのみんちゃんのネタバレレビュー・内容・結末

Strange Circus 奇妙なサーカス(2005年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

ただの近親相姦の話だと思って観てましたが、凄く深いと思いました。ミサンドリーと解離性障害を強く感じました。
穴兄妹という言葉は出てきたが、恋愛感情というものは作中に一切出てきていない。
性に対しての根本的な考え方が美津子の中で父親が大きなしがらみとなってるのだと思う。

園子温さんの作品を見たのがこれが初めてなので園子温さんのやり方なのかは分かりませんが、シーンが一気に飛んだりする事そのものも解離性障害を現していると思った。

作中に関しての考えですが、雄二は美津子が解離性障害によって造った人格であって、あの雄二は実在はしていないと思った。(もしくは統合失調症…?)
裕二の胸付近の傷跡から女性の象徴とする胸を切る事で幼い時から気づかずうちにあった性と女であることの嫌悪を示しているのだと思う。妙子の言うことを従順に聞くことは、父親に対する幼い時の美津子。即ち雄二は本来の美津子。ファンでは無く、心の中。
作中に流れてくる名前のない仔犬の「名前のない仔犬がわたしを連れてゆく、名前のない仔犬がわたしを食べにくる」という歌詞の内容は精神疾患、仔犬は幼少期の事を指していると思った。
幼少期の自分(雄二)が忘れようとしていた過去の記憶へ連れて行き、自分自身の概念を打ち消しに来るといったことかなと思いました。
最後のホテルのシーンの雄二が本当の実際の雄二だと思います。

血塗れの教室のシーンは12歳という年齢から初潮が来たことを比喩してるのだと個人的には思いました。初潮が来ることで女性として見なされてしまう事の皮肉な表現。特に初体験後のベッドのシーツ、作業スペースにしても赤色が目立つが、女性としての性を表してるのだと思います。
実際の自宅には赤色が一つも無く殺風景なので、原稿用紙が散らばっているので即ちこれは本来の美津子だと思う。

作中、下着姿の人が多いが、結局どんなそれらしいことを言っている偉い人も結局、服を脱げば“猿”なんだなぁ
女性である事は時として生きづらい。

それにしても色々な意味でオーバーキルだなあ。