Omizu

くりいむレモンのOmizuのレビュー・感想・評価

くりいむレモン(2004年製作の映画)
3.5
『天然コケッコー』『リンダ リンダ リンダ』の山下敦弘監督の長編4作目。原作は同名のエロティックな美少女アニメ。

これはこの映画をどう見るかによって評価は変わる。原作ファンからすると求めていたエロからは遠くつまらなく思えるだろう。

でも原作の名前さえ知らずに映画として見た僕の場合は、いつもの二人の関係性のみに絞った良質な山下作品であると感じた。

重くなったり説明的な部分(二人の行為が発覚する場面など)はカットし、二人の関係性の揺れ動きのみに焦点をあて、意味がないようであるようなユーモアを挟み込むその手腕は素晴らしい。

最後はちょっとよく分からなかったが、山下監督は「結局ダメな男の話になってしまった」とのインタビューを読んで合点がいった。山下監督がそれまでの3作品で扱ってきたようなダメ男ものなんだ、と考えると全体がよりはっきり見えてくる。

逃げるというと「なんとかしてよ」と訴えられ、結局は逃げてしまうというダメっぷり。そしてラストの彼女の表情は何を意味するのか…

実に余白が多く山下監督らしい作品。先入観を持たずに見てほしい。
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