Omizu

カポーティのOmizuのレビュー・感想・評価

カポーティ(2005年製作の映画)
3.8
【第78回アカデミー賞 主演男優賞受賞】
『フォックスキャッチャー』ベネット・ミラー監督の伝記映画。『ティファニーで朝食を』などで知られるトルーマン・カポーティが映画にもなった『冷血』を書き上げるまでを描いている。本作によってカポーティを演じたフィリップ・シーモア・ホフマンがアカデミー主演男優賞を受けている。

ベネット・ミラー監督の冷徹な描写が光る秀作伝記映画。ミラー監督は静かな狂気を描くのが上手い。カポーティ独特の話し方を徹底したフィリップ・シーモア・ホフマンも納得の上手さ。

『冷血』のモデルとなった二人の殺人犯のうちペリーという男と心を交わしていくカポーティ。本のためではあるが彼との友情と殺人犯という事実との間で葛藤する。微妙な心の動きを捉えたフィリップ・シーモア・ホフマン入魂の演技が素晴らしい。

静かな画面を貫くミラー監督もすごい。この話であればもっと大衆的な映画になりそうなのに。徹底して静かなトーンで描いている。

そこまで好きな映画ではないが、ホフマンの演技、ミラー監督の演出手腕が光る秀作だった。面白いとはあまり言えないが、まるで一冊の本を読み切ったような満足感がある一作。
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