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完全なる飼育のsomaddesignのレビュー・感想・評価

完全なる飼育(1999年製作の映画)
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最近、似たような事件があったなあと思って鑑賞。


そもそもこの映画自体、実在の誘拐事件を下敷きにした松田美智子の小説「女子高校生誘拐飼育事件」を原作にしていて、
さらに調べると実在の誘拐犯は映画「コレクター」に触発された孤独なハゲ中年だったことが伺え、映画と現実が互いに影響しあってるみたいな事態で興味深く鑑賞しました。


このシリーズ、だいたい全て見ておりますが、
第1作目である本作はちゃんと異色に面白く、
耽美主義な純文学読んでるみたいなラブストーリーに見えます。
以降のシリーズが単なる同情やストックホルム症候群から
犯人と少女の関係が奇妙な恋愛に発展していくのに対し、
孤独な二人が互いを補うようにくっついていく様
(しかもそれはお互いに幻想かもしれない恐ろしさ)で
描かれていて、日本のゴーンガールみたいです。
囚われてるのは一体誰なのか主従入れ替わるのもイイです。
しかも彼らが暮らすアパート全体を俯瞰すると、
様々ないびつな愛の形の巣にもなってて、群像劇な側面もあります。


竹中直人の30年前から変わらない孤独中年ぶりも素晴らしいですし、渡辺えり子の欲求不満が毛穴から漏れ出てるようなアパート大家さんぶりも面白いです。あと小島聖の素晴らしいおっぱい。
さらには若き日の北村一輝が超冴えない貧乏大学生役で、
白ブリーフをパンパンにさせながらオギオギしてるのも
今とのギャップ含めて面白いですし、
塚本晋也の怪しげなセールスマンも怪しいのにマヌケで素敵です。あと小島聖の望外なおっぱい。小島聖の不思議な佇まい含めて今作一番の見所なのは間違いないでしょう。


それにしても今年のアカデミー賞「ルーム」も少女監禁ものですし、国や場所を問わず監禁フェチ?な人っているんだな、と怖いやら腹立たしいやら。
実際の事件の方は大変痛ましく、映画のように面白がるつもりもありませんし、何が起きてどんな生活だったかゲスな勘ぐりする気もありません。関係者に1日も早く日常生活が取り戻せるよう願っています。
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