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ブロンコ・ブルフロッグの一のレビュー・感想・評価

ブロンコ・ブルフロッグ(1969年製作の映画)
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モッズ~スキンヘッズから分派した60年代後半から70年代頭のスウェードヘッドなるUK不良サブカルチャー(モリッシーが歌のタイトルにしていますが)のスケッチとして知られているらしいインディペンデント映画。本作の習作にあたる短編『Everybody's an Actor, Shakespeare Said』からそのまま引き継いだガチ・ストリート・キッズたちを起用した即興(監督の回想によれば俳優たちが台本読まなかったかららしい)による作劇は、たしかに監督が意識したというネオ・レアリズモ、更には遡ってウルマー&シオドマク『日曜日の人々』やカサヴェテス『アメリカの影』に近い。話は結構オーソドックスな若い男女の青春恋愛劇。低予算の制約もあるんだろう、ほとんどワンテイクで撮ったらしいが、キャストの演技・佇まいは素晴らしい。OPのチンケな強盗シーンから一気に心掴まれる。鬱屈した青年たちの姿に「あぁここからロンドン・パンクが生まれるんだよなー」と、何だか胸が熱くなりもする。その中でも素晴らしいのは、やっぱりジョー役のサム・シェファードくんだろう。とにかく顔が良すぎでしょ。ロンドン郊外の風景もほとんど主役のように映っている。
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