MasaichiYaguchi

偉大なる、しゅららぼんのMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

偉大なる、しゅららぼん(2014年製作の映画)
3.2
大人と子供の違いは「責任をとれるかどうか」ではないかと思う。
自分の宿命や、いつかは一家の長になる覚悟を持てるかどうか、そういうものに向き合わなければならない時がある。
万城目学さんの人気小説を映画化したこの作品は、琵琶湖の「湖の民」として力を授けられた若者たちを群像劇で、その人としての成長を描いていると思う。
主人公の日出淡十郎は日出本家の跡継ぎとして若殿ぶりというか、バカ殿ぶりを発揮しているが、代々受け継がれたきた「力」や「家」に縛られたくないと内心思っている。
本作の狂言回し的役割を果たす日出涼介は、「力」を持つ者としての修行の為に本家のある石走にやって来たが、彼はこの町で友達を作りたいと願っている。
淡十郎の姉・清子は自分の持つ「力」の強さが仇となって、「ひきこもり」生活を続けている。
同じ琵琶湖の「湖の民」で、日出家と対立する棗家の長男・広海は家族を守っていきたいと考えている。
彼ら若者たちは或る日突然降り掛かった「災い」により、夫々一族存亡の危機を迎える。
彼らは対立関係を越えて夫々の家族を守る為、一致団結して「災い」をもたらした者に戦いを挑む。
これらの若者を演じた濱田岳さん、岡田将生さん、渡辺大さんは、高校一年生という役柄に無理があるものの、夫々原作キャラクター像を壊すことなく良い味を出している。
また清子役の深田恭子さんは、こういう姉御肌の役が合っていると思う。
原作終盤で展開する決戦のスペクタクルもVFXでスケール大きく描かれていて、大きな困難を経験した若者たちが夫々の責任を自覚して歩み出す姿が清々しい。