母子家庭の青年コディの癌を患う母が苦しんだ挙句に口から吐き出した腫瘍。だが、それは腫瘍ではなく未知の生命体エボミネーションだった…というストーリー。
未知の生命体に憑りつかれた青年が残虐行為を繰り返すスプラッターホラーです。
エボミネーションは就寝中のコディの口の中から体内に侵入。操られたコディは次々と残忍な殺人を繰り返し、エボミネーションの食料にしていく。エボミネーションは増殖と巨大化を遂げて行き、という内容です。
「テキサス・スプラッター・コレクション」の一品としてWHDから発売されたカルトスプラッターです。以前レビューした「スペース・ゾンビOZONE!」と同時期に撮影されて、俳優陣も被ってますね。
謎の未知の生命体(悪魔?)に取りつかれた青年が残忍な殺人に手を染めていくというストーリーですが、正直ストーリーはあって無い様なものですね。俳優陣も素人臭い面々ばかりですし、主人公が恋人や友人とドライブするシーン長々と映したり、主人公が飼ってる馬が草食べる明らかに尺稼ぎのシーンが度々挿入されたりと全体的なクオリティは間違いなくZ級作品ですね。母親がエボミネーション吐き出すことになったのも、テレビで毎週見てるフォグ牧師のお説教の通りにテレビに手を乗せて祈ったせいでしたが、フォグ牧師自体はインチキだったみたいだし、何故なのかは不明のままですね。
今作の見所は間違いなくコディによる凶行の数々とその度に出てくるスプラッター描写でしょうね。正直そのスプラッター描写も手作り感とチープさが溢れた物になってますが(切断された手首とかマネキンバレバレですし、切断面から吹き出す鮮血の勢いも全然ないですし)それでもナイフで喉を切り裂いたり、手首が切断されたりしますし、特に後半でムカつく上司の頭部上半分をチェーンソーで切り落として、切断面から脳味噌がドロリと零れ落ちてくるシーンは昼間の明るい中で展開されて一番の見せ場になっているんじゃないでしょうか。頭部を切断中にチェーンソーが止まる所や、切断に合わせて指がぴくぴく動く所は妙に芸が細かくて良かったですね。後、牧師がトイレしてて「ブーブー」排泄音がする所はグロ描写よりも不快感すごかったです(笑)その牧師にエボミネーションを届けるときに、主人公に懐いてた可愛らしい黒猫を成長させるための餌としてトイレに押し込めていく所もかなり嫌でしたね。
コディもドンドン具合悪くなって口から腫瘍吐き出して、それで家中にエボミネーションが増殖して、洗濯機やキッチンの戸棚からエボミネーションが現れるシーンでの母親の「アアアアアアーー!!」って悲鳴が長いうえにうるさくて参りました(笑)本当に何時まで叫んでんだと思っちゃいましたよ。エボミネーションのグロいパックンフラワーかデッドリー・スポーンみたいな口だけの造形はインパクトあって良いですね。触手伸ばして絡めとった人が口の中で食べられてるシーンも何かインパクトありましたね。
終盤のコディのキッチンは、大鍋の中に(恐らく)本物の内臓がぎっしり入ってて、その周りのテーブルの上には手首や生首置いてあったり、流しの上に食べかすの白骨死体が置いてあったりする中で、コディが鍋からスコップで臓物掬ってエボミネーションに食べさせたりと、正しく地獄のキッチンという感じの惨状でこちらもインパクトありました。家を訪ねて来た恋人を襲おうとしてやられるコディの弱さには笑ってしまいましたが、このオチだとコディが精神科医?に悪夢の内容を語っているというスタイルと辻褄あわないんじゃ?と思いましたが、エンドロールの後の会話聞く限りじゃ全ては連続殺人犯の夢オチという事か?
間違いなくチープなZ級ホラーではありますが、スプラッター好きなら一見の価値はあるかもしれません。