「すべてうまく〜」きっかけでオゾン監督に興味を持ち、本作を鑑賞。いや〜、面白い作品だった!脚本が秀逸過ぎる!
小説の才能がある高校生の教え子に小説を書かせてるだけなのに、ミステリーなのか、ブラックユーモアなのか、シリアスなのか、そこのバランスが絶妙。登場人物たちもクロードが書く文章に翻弄されていくし、見ている自分も見事に引っ張られてしまった。そして小説なのか、現実なのか、境界線がぼやけていく展開も面白いし、同時に官能的になるのか、サスペンスに向かうのかハラハラする。クロードの書く文章と、クロード自身の謎めいた魅力、雰囲気によって関わる人間が影響されていく様が滑稽であり、恐ろしくもあり…。エステルのくだりではクロードのしたたかさにゾクゾクしてしまった。冷静に考えれば、ただの小説なのだが、クロードの人間観察眼の凄さで文章にすると、結果、読んだ人を操ってしまう。ジェルマンも操っているつもりが、いつの間にかクロードに操られている。そしてアイロニックな結末。洒落が効いてるというか、なんというか…。
個人的には大満足だった。