千年女優

アフターショックの千年女優のレビュー・感想・評価

アフターショック(2012年製作の映画)
3.5
チリを旅行中の米国人男性観光客で、富豪ポヨとその幼馴染アリエルと連れ立って地元のクラブを遊び回るグリンゴ。ヨーロッパからの同じく観光客で中絶経験者の真面目なモニカとカイリーの姉妹にその友人イリーナ。クラブで出会い意気投合した彼らが突然巨大地震に襲われ囚人が街をのさばる阿鼻叫喚の状況に慄く様を描く災害映画です。

監督作品の『ホステル』がタランティーノから賞賛を受けた縁で『デス・プルーフ』にも俳優として出演したイーライ・ロスが原案から脚本、さらには主演まで務めた2013年公開の作品で、『ホステル』と同様に観光先で解放感から浮かれる富裕層の旅行者の悲劇への急転直下を、2010年に起こった観測史上有数のチリ地震を背景に描写します。

観光客が地震と津波に襲われる設定は『インポッシブル』と同じですが、はるかに低予算な本作では災害に加えて被災後の人の狂気で執拗に登場人物を追い詰めます。洞窟を子宮に準える展開を始めやや露悪的に過ぎるところはありますが、変に勧善懲悪の概念を持ち込む事ない物語でホッブズの『リヴァイアサン』的世界観を描いた一作です。
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