さいとぅおんぶりー

女っ気なしのさいとぅおんぶりーのレビュー・感想・評価

女っ気なし(2011年製作の映画)
4.2
「女っ気なし」は寂れたフランス北部のリゾート地に縛られたシルヴァンがヴァカンス中に訪れた母パトリシアと娘ジュリエットの親子に出逢う事で3人の危うい関係性を軸にゆるーく推進されていくストーリー
ヴァカンスという限られた期間の中で縮みそうで縮まない距離感のもどかしさとシルヴァンの誠実な人柄がなんとも微笑ましく可愛らしい、コメディのような軽いタッチで描かれる前半の展開に対して後半はややシリアスな方向に向かうのも前日談「遭難者」との類似性が見えて面白かった。
ヴァカンスという別れが必然性を持って存在するシチュエーションの扱いが堪らなく上手いなと唸らされました。

エリックロメールとよく比較されるギョームブラックの作品ですが、個人的に感じたのが男女を同じ空間に入れたら何らかの恋や愛に発展するだろうというロメール作品の男女を観察するような突き放した客観的視点で撮られた映画というよりはシルヴァンという1人の人間に寄り添った視点で撮られた映画にみえました。
ホンサンスの「3人のアンヌ」やロメールの「海辺のポーリーヌ」に似通ってるのだけれども同じような題材を扱ってここまで違うのかと嬉しい発見のあった作品。