あつお

ゼロ・グラビティのあつおのネタバレレビュー・内容・結末

ゼロ・グラビティ(2013年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

キレイなものには棘がある。そんな世界観を感じられる。
主人公のストーンはベテラン宇宙飛行士コワルスキーとミッションに参加する。しかし、ミッション中にロシアが自国の人工衛星を爆破。その破片が高速で飛来し、彼女はコワルスキーと2人で宇宙空間に取り残されてしまう。宇宙空間は重力も、反力も働かない。そのため、当然のごとく自由に移動することができない。事故の衝撃で飛ばされ、コントロールを失い高速回転する。パニック状態になっているところをコワルスキーに助けられる。コワルスキーはパニックになり、冷静な判断力を失っている彼女に対して質問する。地球での生活のことを。それは帰るべき故郷を思い出させるためだろうか。
ここで例えを一つ。心理学では「皮肉過程理論」がある。例えば「シロクマのことは絶対に考えないでください」と指示されたとする。そうすると、シロクマのことが頭から離れなくなるのだ。その固執的な思考から脱却するためには、他のこと、例えば「ライオン」のことを考えないようにしてみる。他のことに意識をそらすのだ。
コワルスキーは同じように、彼女の意識を危険から反らせることで呼吸を落ち着かせ、生存確率を上昇させたのだろう。それが彼女に対する愛なのかもしれない。ストーン氏は、劇中何度もコワルスキーに助けられる。
ガラス一枚超えれば死の世界。荘厳だが絶望的な世界から如何にして生き延びるか。スリル満点の作品だった。
あつお

あつお