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ゼロ・グラビティの映画初心者のネタバレレビュー・内容・結末

ゼロ・グラビティ(2013年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

the体感映画。今年日本で公開された1917も体感映画でしたが、こちらはそれよりドラマ性が薄く体感映画の濃度が濃い。

重力のない状態に人間が放置される話です。生き残ることがドラマ性を生み出しています。
この作品は長回しかつ回り込みのカメラワークが多様されています。そのため、緊迫感と臨場感があります。劇場で見るべきでしたね、ですが自宅で見ても70%ぐらいはこの作品の良さがわかるとは思いました。

アルフォンソキュアロン監督作品はアズカバンとROMAしか見ていないです。アズカバンはそれほど特徴的ではなかったですが、ROMAでは長回しと水平PANが多様されていました。おそらく、この監督の特徴は1ショットが長いことなんでしょう。

細部までこったCGは凄いの一言で、回り込む映像はどのように撮影しているか気になりました。まず臨場感を生み出すための技術面が凄い。

技術面だけでなく音の演出が良い。宇宙は無音。そのため、人間が発する音は心臓音だけになります。BGMがビート音なので緊張感がある時はbpmが高くなっていました。また、無音演出も良い。危ない時に無音になったり、水中に入る時一瞬無音になるといったように臨場感を生み出すため映像だけでなく音にもこっていました。

ドラマ的には、死ぬ間際に三途の川の向こうから男性がやってくるかのような展開が良い。ロマンチックですし、生きる希望を与える感動的なシーンだったと思います。

しかし、高校物理レベルでおかしいと思うところがあります。無重力状態で物を投げ捨てれば、投げ捨てた方向と逆の方向に速度が出るはず。消火器を捨て去るシーンではその物理法則を無視していました。細部までこっているからこそ、こういった一般教養レベルの物理法則を無視したシーンが目立ってしまって少し残念。

映像面・演出面がとにかく良く、ドラマ性もそれなりにある作品でした。少しマイナスな点がありますが、映像演出が素晴らしいの一言なので満足できた作品です。映画館で観たかった。


邦題はこの映画のスリルさに重点をおいたものですが、原題はラストに重点をおいたものと思いました。重力は縛られると表現されますが、縛られることの良さ、重力を感じる喜びを体感する映画となっているため原題の方が良かったのかも。
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