菩薩

処女ゲバゲバの菩薩のレビュー・感想・評価

処女ゲバゲバ(1969年製作の映画)
4.3
前武・巨泉もびっくりなゲバゲバ60分。大和屋竺のシュールかつスプラスティックな脚本も秀逸だが、乳房を流れる一筋の鮮血、ライフルのスコープに狙われる乳首など、おっぱいを中心とした鮮烈な描写が脳裏に突き刺さる。急進左派に飲み込まれ、そして自ら崩壊の一途を辿った学生達の遊戯的革命運動は、69年東大安田講堂における決定的敗北により終焉を迎えた。所詮は彼らをイヌとして扱い自らの手は汚さぬ大人達の手中で転がされた若者達の欲求不満、それは再び無意味かつ無軌道な暴力として大人達に一矢報いる事になるが、結局彼らは再び国家に大敗を喫し檻に入れられる事になる。そんな時代に『女学生ゲリラ』と共に誕生した今作、虚しき闘争の時代に呼応したものとして観ると途端に憐憫に囚われるが、それは所詮個人の穿った見解であり、このフリーキーかつアナーキーな作品をどう処理しようと自由、この映画の最後の場面を勝利と見るか敗北と見るか、はたまた多くの犠牲を出した闘争からの逃走と見るか。星の尻尾は何故生えた、そして何故消えた、その答えすら、我らの手中にある。十字架を打たれた荒野は地下室へと通じ、時代の亡霊は未だそこを彷徨っているのかもしれない。
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