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パトリオット・デイのアガサのレビュー・感想・評価

パトリオット・デイ(2016年製作の映画)
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銃を撃っても簡単に命中しない。逃走中の犯人と偶然すれ違ったりしない。顔認証がヒットしない。刑事の勘が捜査を解決に導かない。
アクション映画でマヒした心に冷水を浴びせるごとき歯がゆい展開の連続から、自分が生きているのはこの世界なんだ、と現実に引き戻されました。この、一瞬で無情になる世界なんだ、と。

当時、ネットで「ボストンマラソンやらせ説」を見かけていた。
その無茶苦茶な論理に「こういう人たちはいったい何がしたいんだろう」と困惑していたんだけども、本作にも登場人物の口を借りて「911テロは政府のでっち上げ」と語らせるシーンがあった。
もしかしたら、事件に関わった方が当時心ない「やらせ説」で受けた苦しみ少しでも和らげたかったのかもしれないし、犯人たちの異常さを表したかったのかもしれないし、無責任な陰謀論は直接人を殺さなくても充分すぎるほどの苦しみを与えうるということが伝えたかったのかもしれない。
とても印象に残るシーンだった。(こういうシーンがあることすら、その種の人々にとっては印象操作と受け取られるのかもしれないにしても、だ。)
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