shimo

ハンナ・アーレントのshimoのネタバレレビュー・内容・結末

ハンナ・アーレント(2012年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

映画としての派手さはないが、 脱線も少なくて、 ハンナ・アーレントとその主張について考えることに集中させる構成になっていたのが良かった。

印象的だったのが、 ナチスはあまりにも深い傷をドイツ国民や周辺の国に与えていて、 そんなナチスの指導者であるアイヒマンを"凡庸な悪"だとは認められない人たちが多くいて、 今でこそ自分としては(当事者じゃないからこそ)ハンナの主張はもっともらしく感じるが、 その他の人にはとても受け入れられなかったこと。 逆に、当事者でありハンナがここまで客観的に理解のために"思考"できていることがすごい。

ミルグラムの実験で、 8割くらいの人が思考停止で非人道的なことをしてしまうということが示されていることからも、 いかに思考停止が危険かということは考えなくてはならない。


「"思考"がもたらすのは知識ではなく、善悪を区別したり、 美醜を見分けること」
「"思考"は自分自身との静かな対話であり、 思考停止、 つまり人間であることを拒絶することによりモラルの崩壊につながる」
shimo

shimo